スプリント治療で悪化する顎関節症
顎関節に何らかの症状があり、顎関節症に悩む方は1,900万人前後(2016年歯科疾患実態調査を元にした推計)いると言われます。私自身も約20年間、顎関節症に悩み続けていました。
実際に名取歯科医院に来院された顎関節症の患者さんで、私のもとに来られるまでに実に10個以上のマウスピース(大学病院も含めて)を作った方がいました。
なぜでしょうか?
それは歯科医院に行って「先生、顎が痛いのですが」と訴えると、ほぼ99.9%の歯科医師がマウスピースを処方します。そして、殆どの患者さんはそのマウスピースをゴミ箱に捨てます。
本当なんです。
これは日本の歯学教育の中で「顎関節症=マウスピース」というステレオタイプの図式が出来上がっており他の選択肢はありません。補完的にマッサージ療法や暗示療法を提案されるかも知れませんが、昭和型の古い考え方です。
そもそも顎関節が動いて、上の歯と下の歯がぶつかることで初めて噛む事ができます。顎関節というのは非常に大切な器官です。しかし殆どの歯科医師は歯のことには詳しくても顎関節の事は良く知らないので、検査もしないのです。
私は顎関節・関節円板・筋肉の状態を知らないで顎関節症治療をする歯科医がいたら、怖くてとても治療を委ねることができません。膝を痛めた、肩が上がらない時には検査としてレントゲンで骨をふくめた硬い組織、MRI で筋肉や軟骨などの軟かい組織を検査して診査診断をするのに、どうして同じ関節と筋肉の障害である顎関節症ではこうした検査をせずにマウスピースの処方で終わるのでしょう。
令和の時代に思考停止でマウスピースを処方する化石のような顎関節の治療は、百害あって一利なしと覚えておいてください。
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