患者さんは20代の女性で、前歯の隙間を矯正せずに治したいと来院されました。デンタルドックによる精密検査の結果、矯正治療で歯を動かさなくても、良好な噛み合わせを保ったうえで治療できると判断し、ダイレクトボンディングによる審美治療を選択、1日で治療を終えました。
治療ステップ
初診時
前歯のすきっ歯に悩んでいるとのことでご来院されました。患者さんは矯正以外の治療を希望されていましたが、名取歯科医院にご来院される前はどこの歯科医院でも矯正治療が必要と言われていたそうです。歯を動かさず隙間を埋めるダイレクトボンディングによる治療の可能性をデンタルドックによる精密検査に加えて、モックアップ模型で丁寧に検証を行いました。
精密検査
デンタルレントゲンで前歯の部分を確認します。虫歯も無く骨も健康的な状態が保たれていることから、デンタルIQの高い患者さんということがわかります。
パノラマレントゲンでも前歯の隙間以外は綺麗に揃ってあり、咬み合わせの問題もほぼありません。
デンタルドックによる精密検査と並行し、シリコンによる印象を採得しモックアップ模型を制作します。デジタルデータのみで治療可能かどうか判断せず、模型を作ってダイレクトボンディング後を立体的に見ることで歯牙形態の審美性を検証することができます。
治療計画
精密検査とモックアップ模型から矯正治療をおこなわずに治療が可能と判断し、1日で終了するダイレクトボンディングでの治療をご提案しました。単純に前歯の隙間を埋めるだけではなく、右1番から左の2番の間をコンポジットレジンによるダイレクトボンディングで築盛し、審美性と咬み合わせを考慮して治療します。
ダイレクトボンディング治療
コンポジットレジンを3色使ったレイヤリング効果を利用して天然歯の自然な色を再現します。硬化後に丁寧に研磨して艶出しも行います。保険治療でのダイレクトボンディングは法律で1色しか使用できないので、このように自然な歯の色を出すことは難しいことは意外と知られていません。ダイレクトボンディングによるすきっ歯の治療は一般的ですが、歯科用CT/デジタルレントゲンの診断と咬合診断が伴うことが最も大切で、噛み合わせに問題がある方の場合は検査をせずレジン治療をすると欠けてしまったり、簡単に脱離してしまうので注意が必要です。
前歯の隙間だけに着目すると歯科医師でも矯正治療が必要に感じてしまうことがありますが、精密検査で歯と骨の状態を観察し、手間を惜しまずモックアップ模型で立体的に再現することで自然光の元、指先で理想形態を確認することができます。コンピューターシミュレーションでは触れることは不可能ですが、精密な模型を活用することで審美性と機能性を両立した審美歯科治療を1日で提供することが可能になります。
治療費
ダイレクトボンディング | |||
モックアップ模型 | ¥3,300 | 3 | ¥9,900 |
ダイレクトボンディング | ¥44,000 | 3 | ¥132,000 |
合計 | ¥141,900 |
症例紹介について
治療費について
すべての治療が保険外診療となります。価格と税率は治療当時のものとなります。初診カウンセリング費用は無料ですが、治療前にデンタルドック(55,000円)が必要です。
治療リスクについて
治療中に一時的な咬合痛や冷温水痛、若干の歯肉の腫れ、発赤などを生じることがあります。また仮歯の時期には仮歯の脱離や破損の可能性、舌感などに違和感を感じることがありますが、本歯に移行するまでに通常消失します。
※すべて症例による違いや個人差があります。
掲載写真について
すべて名取歯科医院での臨床写真で、見た目を変える画像加工は行っておりません。またメーカーや学会誌からの転用はございません。掲載写真は実際に治療を行った患者さんの同意を得て、治療を検討する方への情報提供と啓発を目的として公開しています。
噛み合わせと定期検診について
審美治療の終了後は、必ず定期検診をお受け頂きます。これは顎関節を含む噛み合わせの安定を出来るだけ長期にわたって維持して頂くためです。噛み合わせの安定は治療箇所の長期予後(長持ちする治療)におして不可欠です。
メタルフリーとマイクロスコープについて
金属を使用しないセラミックス、ファイバー、レジンによるメタルフリーの審美修復治療です。マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を使った拡大視野による治療により修復物の適合性を高めることは虫歯や歯周病の再発抑止に有効です。