患者さんは20代の男性で、主に前歯の歯並びを主訴としてご来院されました。右上前歯の捻転、また歯並びをつくるアーチ(歯列弓)が若干狭いこともあり、食事(嚥下)や深い呼吸がし辛くなっていることが拝察されました。デンタルドックによる精密検査の結果、非抜歯での矯正治療が可能と診断しました。矯正治療を通してアーチを僅かに拡げることで歯並びだけでなく、食事のし易さや呼吸の改善に繋がります。マウスピース型矯正(インビザライン)で噛み合わせと歯並びを治療。保定後にDTR (噛み合わせ)治療を行います。
治療ステップ

初診時
一見すると綺麗な歯並びに見えますが、スペースが足りないことによって特に上顎右1番が唇側突出、右2番の近心への捻転が目立ちます。若干アーチ(歯列弓)が若干狭いことで歯並びだけでなく食事や呼吸の影響も懸念される状況でした。左上4番も丁寧なゴールドインレーで治療されており、目立つ虫歯(カリエス)もなく健康な歯と歯ぐきを保っているデンタルIQの高い患者さんということがわかります。

現状と治療計画
主訴の前歯の歯並びに対しては診査診断の結果、軽度の不正咬合と診断しマウスピース型矯正(インビザライン)の治療プランから短い期間のものを選択しました。約2年の動的期間、保定期間6ヶ月とする治療計画をお伝えし、治療がスタートしました。

捻転の改善と歯列弓の拡がり
アタッチメントと呼ばれる部品を一時的に歯に接着して固定源とすることで、3次元的に歯をコントロールしています。ツノのように見える「ポッチ」がアタッチメントです。初診時と比較すると特に上顎6前歯のアーチ(歯列弓)が緩やかに拡がっていることがおわかりになるとおもいます。

最終調整
約2年の動的期間が経過したのち、6ヶ月の保定期間を終えた約2年6ヶ月後の写真です。ご覧のように上顎は理想的な歯列弓に沿って歯が並んでいます。若干の突出がみられた右上1番、捻転が目立っていた右上2番も正しい位置に排列しています。下顎も治療計画通りに進み、いわゆるU字型と呼ばれる歯列弓となり安定した噛み合わせをつくっています。
DTRセラピーによる噛み合わせ治療を通して治療を終えました。このように矯正治療は噛み合わせを改善する手段であり、見た目の歯並びを改善することが目的ではありません。矯正治療の目的は咬合を改善すること、正しい噛み合わせで食事や発語、時には呼吸のし易さなどを視野にいれ、口腔機能を改善することこそが真の目的です。次回検診時に左上4番のゴールドインレーをセラミックジルコニアによる白い詰め物で治療予定です。
治療費
精密検査 | ||
デンタルドック費用 | ¥54,000 | |
歯のクリーニング/PMTC | ¥10,800 | |
合計 | ¥64,800 |
インビザライン | ||
インビザライン ライト | ¥658,800 | |
矯正検査費用 | ¥32,400 | |
保定装置 | ¥64,800 | |
合計 | ¥756,000 |
咬合調整 | ||
デジタル咬合調整 | 1 | ¥55,000 |
合計 | ¥55,000 |
紹介した治療内容
症例紹介について
治療費について
すべての治療が保険外診療となります。価格と税率は治療当時のものとなります。治療前にデンタルドック(55,000円)が必要です。
治療リスクについて
治療中に一時的な咬合痛や冷温水痛、若干の歯肉の腫れ、発赤などを生じることがあります。また仮歯の時期には仮歯の脱離や破損の可能性、舌感などに違和感を感じることがありますが、本歯に移行するまでに通常消失します。
※すべて症例による違いや個人差があります。
掲載写真について
すべて名取歯科医院での臨床写真で、見た目を変える画像加工は行っておりません。またメーカーや学会誌からの転用はございません。掲載写真は実際に治療を行った患者さんの同意を得て、治療を検討する方への情報提供と啓発を目的として公開しています。
噛み合わせと定期検診について
審美治療の終了後は、必ず定期検診をお受け頂きます。これは顎関節を含む噛み合わせの安定を出来るだけ長期にわたって維持して頂くためです。噛み合わせの安定は治療箇所の長期予後(長持ちする治療)におして不可欠です。
メタルフリーとマイクロスコープについて
金属を使用しないセラミックス、ファイバー、レジンによるメタルフリーの審美修復治療です。マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を使った拡大視野による治療により修復物の適合性を高めることは虫歯や歯周病の再発抑止に有効です。